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10kmタイムトライアルについて
10kmタイムトライアルは、ツールドフランスの第一ステージでよく採用されるなど、ロードレースにおいてはよく用いられる走行距離のタイムトライアルである。
短距離的な爆発的な筋力の発揮は難しく、いかに一定時間を高いスピードを維持しながら走行し続けるか、足の持久力と心肺力が要求される。
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装備 |
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タイムトライアルでは、空気抵抗を落とすことに特化した装備を装着する事が認められている。
1 |
DHバー
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長時間に渡る前傾姿勢を維持し、腰にたまる空気抵抗を減らす。 |
2 |
ブルホーンハンドル
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ドロップハンドルのドロップ部分は使用しないものとして撤去し、空気抵抗を減らす。ドロップポジションはDHバーで代用する。 |
2 |
エアロヘルメット
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頭部と背中を連結させる事によって空気の渦を無くし、空気抵抗を減らす。 |
3 |
コンプレッションウェア
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キツめのジャージを装着し、体の表面積を小さく、服のばたつきなどを抑えて空気抵抗を減らす。 |
4 |
ディープリムホイール
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リム高の高いホイールによって空気抵抗を減らす。 |
5 |
ディスクホイール
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車輪のスポーク部分を完全にディスクで覆い隠し、空気抵抗を減らす。横風を強く受けるので、後輪のみに使用するのが通例。 |
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ペース配分 |
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10kmTTの基本的なペース配分は、スタート直後にベースとなる速度まで急速に加速させ、その後ベース速度を維持して徐々に加速、2/3の距離あたりでピークを向かえ、少しずつ速度を落としながらゴールとなる。
ここでは、ベース速度として40km/hで走行出来る選手のペースマネジメントを例に取る。

1、スタート直後
走る距離が短いほど、スタート直後の加速力はタイムに明確に影響する。下図のように、スタート直後の加速が遅い場合、著しいタイムロスが生じる。
その為、スタート直後から自分のベースとなる速度まで短時間で加速させる。このグラフでは40km/hのケースとするが、40km/hまでもっとも早く加速する事が出来るギア比などを事前によく確認し、スタート前にギアをあわせておくこと。
2、ベース速度へ乗せる
ベース速度とは、連続して走行可能なもっとも速い速度をさす。力が落ち、次第に失速する速度では速過ぎるので注意。距離が長いタイムトライアルほど、このベース速度で走る時間が長くなり、スピードもやや控えめになる。逆に距離が短い場合は多少速度を高くする。ゴールまでに力尽きない限界の速度を見極める。
3、ピークを設ける
ベース速度を元に、更に一時的に加速をするピークを設定する。このピークは消耗が大きく、次第にベース速度を下回るほど失速する為、タイミングの見極めが重要である。

↑上記グラフは、ピークを早めに入れ過ぎた為、終盤に失速し、ベース速度の40km/hを割り込んでいる例である。特にスタート直後は体力もあるため、ハリキリすぎてペースを上げ過ぎ、終盤で著しい失速に見舞われる事があるので注意が必要である。

↑一方で上記グラフは、ゴール直前にトップスピードに達する例である。体力をあまりに温存し過ぎるあまり、ベース速度で走行する時間が長過ぎると、このようなパターンになる。ロードレースなど、ゴールスプリントではこのような終盤でトップスピードに達する走り方をするが、ゴール後も40km/h以上の速度が出ているように、明らかにスピードに無駄にしている。

↑再度、見本的なペース配分を記すが、序盤はベース速度である40km/hまで加速し、そのままベース速度を維持、2/3程度の距離にピークが来るように加速して45km/hまで上げ、終盤に足が無くなるものの、40km/h以下に落ちる前にゴールに到達している理想的な例である。
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記録対応表
おおむね、10kmタイムトライアルで出すタイムを実力別に記す。ただし、風や勾配、カーブの量などによって速度は変化する。
17:00以上
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35.3km/h
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アマ・下級者
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17:00未満
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35.3km/h
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アマ中級者
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16:00未満
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37.5km/h
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アマ上級者
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15:00未満
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40km/h
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アマ・エリート級
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14:00未満
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42.9km/h
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エリート級
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13:00未満
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46.2km/h
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プロ級
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12:00未満
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50km/h
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ツール級
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