Vol.2 脚質が生まれるワケ

自転車ロードレースの選手には、最高速度に優れたタイプ、登り坂に優れたタイプなどが存在する。なぜこのようなタイプが生まれてくるのか。

コースは、平らな道や登り坂など変化に富む。その為、平地から登りまで万能に走る方法もあれば、上り坂を重点的に速くしたり、平地を重点的に速くしたりなどの、バランス調整が可能である。

実際には、登りも平地も平凡、という人は活躍しにくい。

例えば上り坂の場合、エースをアシストする為には、一時的であってもエースの前を走り続けるだけの登坂力をもっていないと役に立たないし、反対に平地で活躍するには、先頭を一定のペースを走ったり、逃げに乗ってペースを作るスピードが必要である。ゴールスプリントやポイントを狙うのであれば、当然スプリント力を高く備えていないと絡めないし、それこそ、個人総合優勝を狙うのであれば、平地も登りも、共に優れていなければ苦しい。

つまり、中途半端な実力の選手は、これと言って際立った仕事をこなしにくい。登りでも十分エースをサポート出来ない上に、平地でもただいるだけで仲間を助けられない、というのでは、ここぞという仕事がこなせないのだ。

その為必然的に、ある分野で十分な結果を残せるだけの専門特化をしていく事になる。この専門特化こそ、脚質である。

その選手がどのような脚質になるかは、本人の希望や自分の体格に向いた走り方など、色々な要因が上げられるが、一般的に、パワーを付けると体重が増えて平地は早くなるが登りが遅くなり、反対にパワーを犠牲にすると登りは早まるが平地でスピードが出ない。これが代表的な脚質、クロノマン(独走力タイプ)とクライマー(登坂力タイプ)だ。


その中で、瞬発力に優れた選手は、スプリンターとしての脚質の強化が見いだせる。パワー+瞬発があれば、瞬間最高速度を誇る、いわゆるスプリンターとなり、一方でパワー=体重を一定に抑えれば、軽量を活かした急加速を武器とするパンチャーになり、山や起伏の続くコースでのスプリントの主役となる。

この中で、体重に対し高い出力=高い持久力を示す選手は、平地でも登坂でも高速を誇り、総合優勝を狙う脚質、オールラウンダーとなるし、そこまでいかなくとも、一定の高水準であれば、万能にこなすルーラーとしての脚質が獲得できる。


(C)Wnd Bells Bicycle Club, Nanairoenpitsu.2010