下のグラフは、約3分の連続運動をした場合の、心拍数の変化を示したグラフである。
心拍数とは、1分間に心臓が鼓動した回数を差す。グラフが上に行くほど、強い運動をしている事を示す。運動の強さは、心拍数を5段階に分けて、1〜5の強さで評価される。
例えば、3分間を全力で走った場合、最初は呼吸も静かだが、次第に呼吸が早くなり、そのうち息苦しくなって、次第に力が出なくなり、運動を続ける事が出来なくなってくる。下のグラフがその模様を表している。
人は運動を行なうのにエネルギーを必要とするが、その運動に使われるエネルギーは、一つの共通する方法によって生み出されているのではなく、その運動の強さに応じて、次の3つの生産方法を使い分けて獲得している。
◆有酸素(脂質分解)
1〜3の黄色いゾーンでは、脂肪を酸素で分解してエネルギーにする。酸素を使うため有酸素運動と呼ばれる。脂肪は分解速度が遅いが、人は大量の脂肪を体に保持出来る為、普通の生活をする以上は、エネルギーが切れる事はまずない。
◆無酸素(解糖)
4〜5のオレンジ・赤のゾーンでは、糖質を分解してエネルギーをとする。酸素を使わない為、無酸素運動と呼ばれる。運動力が非常に高い為、脂肪ではエネルギーが間に合わず、即効性の高い糖質が使われる。
◆ATP-CP
グラフには記していないが、短時間で一瞬にして力を発揮する運動の場合は、ATP-CPという、非常に即効性の高いエネルギー生産方法を用いて、エネルギーとする。
このように、ヒトは運動の負荷によって、有酸素→無酸素→ATP-CPという、異なる方法のエネルギーの生み出し方を組み合わせて、力を発揮している。
エネルギーが生み出せないと、力が出なくなり、持久が出来なくなる。この、異なるそれぞれのエネルギー生産力を高め、エネルギーを素早く生み出し、運動を持続的に、特に「強い運動を持続的に」続ける能力を強化する事が、すなわち持久力の強化である。
この3つのエネルギー生成方法は、次項にて、一つずつ解説をする。
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