筋肉が最も高いパワーを発揮するのは、その筋肉を素早く収縮させる時である。
その収縮の速度を強化し、素早く収縮させるのが、筋瞬発の強化である。
筋瞬発の強化に適切な負荷は、最大筋力の40%前後とされるが、トレーニングに即した、実行し易い60%負荷がある。やや軽く、素早く動かす事が出来るが、少し抵抗を感じる負荷である。重さを感じるようでは重すぎ、しかし軽すぎてもいけない。ペダルでは、空回りせず、しかし回し応えを感じる重さであってはならない。
瞬発力強化には、いかに短時間に、全ての力を出し切って、最大の瞬間的な力を発揮するかを意識しながら取り組む必要がある。力の入れ具合が弱かったり不十分であると、筋瞬発のトレーニングにならない。気持ち的に、全力で一瞬の力を出せたと思ったら、更にそこから一段上の力を込める意識が重要である。
特に筋瞬発は、その特定から、ATP-CPエネルギーを使い易く、一度瞬発させると、8秒程度で持久力が尽きる。回復には5〜10分程度必要であるが、それを待たずに瞬発させると、十分なエネルギーが無く、全力で瞬発させる事が出来ない。これでは十分な瞬発力強化にならない。
また、定期的に筋肉を収縮する運動を続ける事で、脳からの命令が素早く到達し、スムーズに筋肉が収縮され、瞬時に最大パワーを生み出す、しなやかな筋肉を強化する事が出来る。
筋瞬発力は、とかく筋肉が固くなりがちである、筋容量強化時などに、日ごろから併用しておくと良い。
なお、筋肉の絶対量である「筋容量」に対し、「筋神経と」「筋瞬発」は、いわば筋肉の質と表現する事が出来る。これら「質」のトレーニングは、筋量の増大を伴なわない為、パワーは増えるのに体重は増えないという特徴がある。体重が逆効果となる自転車においては、この「質」をいかに高めるかが重要である。
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